NUNOの布が米ポートランド日本庭園へ 8つの染織産地と新作屏風で見せる「Weaving Time」展が開幕


須藤玲子率いるNUNOの展覧会がポートランド日本庭園で開幕
テキスタイルデザイナーの須藤玲子が率いるNUNOの展覧会「Weaving Time: NUNO ―伝統と革新のテキスタイル」(英文名:Weaving Time: NUNO – Textiles of Tradition and Transformation)が、2026年10月3日(土)、米国オレゴン州のポートランド日本庭園(Portland Japanese Garden)で始まりました。会期は2027年2月14日(日)までです。
会場のポートランド日本庭園は、全米屈指の日本庭園で、日本文化の発信拠点としても知られています。1963年、第二次世界大戦後の日米の相互理解を深め、平和を育む場として設立されました。ワシントンパーク内の12.5エーカー(東京ドームとほぼ同規模)の敷地に、8つの異なる様式の庭園があります。年間約43万人、世界90カ国以上からの来訪者を迎えています。今回の展覧会では、園内の2つのギャラリーで、日本各地のつくり手との協働から生まれたNUNOのテキスタイルを、空間表現とあわせて紹介しています。展覧会全体の空間デザインは、たしろまさふみが担当しました。

8つの染織産地に焦点を当てた《NUNO Cubes》
「パビリオン・ギャラリー」では、NUNOとwe+の協働によるインスタレーション作品《NUNO Cubes》(NUNOキューブ)を、新ヴァージョンとして発表しています。この作品は、1メートル四方のフレームにNUNOのテキスタイルをまとわせた立体が、緩やかに宙を舞うものです。we+が展示デザインを手がけ、2021年に東京・六本木のAXISギャラリーで開かれた展示「nuno nuno」を皮切りに、京都、秋田など各地を巡回してきました。
今回の新たな試みとして、日本の8つの染織産地(山形県、群馬県、埼玉県、山梨県、福井県、滋賀県、京都府、福岡県)を取り上げています。それぞれのキューブは各産地でつくられた6種類のテキスタイルをまとっており、展示は計48種類のテキスタイルで構成されています。
NUNOのデザインの多くは、産地に根付く素材や技法、制作工程をじっくり見つめるところから始まります。職人との対話や実験を重ね、受け継がれてきた手法に新しい技術や思いがけない素材、これまで見過ごされてきた資源を組み合わせることで、布の可能性を広げてきました。こうした協働は、職人たちにとって新たな創造への挑戦となり、地域の染織産業の未来を切り開く力にもなっています。
会場では、パノラマティクス主宰の齋藤精一と、映像ディレクターの本間無量(Abstract Engine)による映像で、布づくりを支える人々や産地の制作現場も紹介しています。実際に手で触れられるテキスタイルサンプルも展示されており、質感や織りの違いを確かめながら、布づくりの背景に触れることができます。

雨をテーマにした新作《NUNO Byobu》
「カルビン&メイホー・タナベ・ギャラリー」では、伝統的な屏風に着想を得た新作《NUNO Byobu》(NUNO屏風)を公開しています。屏風は古くから、室内を仕切りつつ、人の動きや活動に応じて空間を柔軟に変える建具として使われてきました。本作は、その役割を現代のテキスタイルと竹のフレームによって再解釈したものです。
布地には、ポートランドに潤いをもたらす雨に着想を得た、「雨」をテーマとする透け感のある素材を採用しました。軽くしなやかな竹のフレームと、細部まで精緻に仕上げられたディテールは、木に対する深い知識と卓越した技術を持つヒノキ工芸の戸沢忠蔵との協働で実現したものです。布とフレームが一体となり、「内と外」や「人工と自然」を穏やかにつなぐ、軽やかな境界をつくり出しています。布越しに届く光や、通り過ぎる人のシルエットが空間に移ろう表情をもたらし、すべてを見せずに向こう側の気配を感じさせる表現には、日本の美意識「幽玄」を呼び起こす意図が込められています。

開幕時のアーティストトークと展覧会概要
開幕にあわせて、オープニングレセプションのほか、庭園のパトロンに向けたアーティストトークや講演会が開かれました。アーティストトークでは、須藤玲子がデザイン画や原材料、道具、モックアップなどを示しながら、伝統的な技術や素材に独自の発想を重ねて革新的な布を生み出すNUNOのものづくりを紹介しました。会場からは多くの質問が寄せられ、NUNO独自のクリエイションと、それを支える日本の染織文化への関心の高さがうかがえたといいます。
- 展覧会名:Weaving Time: NUNO ― 伝統と革新のテキスタイル
- 英文正式名:Weaving Time: NUNO – Textiles of Tradition and Transformation
- 会期:2026年10月3日(土)~2027年2月14日(日)
- 会場:ポートランド日本庭園(パビリオン・ギャラリー、カルビン&メイホー・タナベ・ギャラリー)
- 所在地:611 SW Kingston Avenue, Portland, OR 97205, USA
- 入場:庭園の入園料に含まれます
出典:NUNO










